小児を対象とする訪問看護ステーションの探し方

twitterで、「本当は訪問看護ステーションを変えたいのだけど、病院のほうで調整してくれたし、他に対応してくれるところがあるかわからないから、我慢せざるを得ない」みたいな投稿をされている医療的ケア児のご家族の方がおられました。

たしかに介護保険のサービスについては、「介護サービス情報公表システム」があり、利用者さんやご家族自身が居住地域付近の訪問看護ステーションを探すこともできなくはないと思います。そして、高齢者の場合にはケアマネジャーさんに頼めば、情報提供してくれると思います。小児だとケアマネさんはいないので、上述したtwitterの方も主治医のいる医療機関のMSWの方などにご相談いただけるとよいのかなと思います。私としては全体としてどうなっているのかも気になるので研究者として利用できる情報源のほうに話のポイントを移しつつ、どんな方法があるのかを考えます。

実は医療保険の(小児の)訪問看護サービスについてはまとまったデータベースがないのが現状です(研究者としてもちょっと困ります)

とりあえず、医療保険の訪問看護ができるステーションは、厚生労働省の外局である関東信越厚生局などのHPから、一覧としてダウンロードすることができます。通常介護保険がつかえる事業所して申請するとこちらにも登録される仕組みがありますが、小児専門のステーションだと、こちらにしか登録がありません。

こちらに登録があるからと言って、小児の訪問看護に対応しているのかどうかは、これだけではわかりません。

一つ目として、訪問看護ステーションは地域ごとの協議会とか、教会というものを作っていて、そちらに一覧が掲載されている場合があります。東京都訪問看護ステーション協会の一覧神奈川県訪問看護ステーション協議会の一覧は小児に対応しているのかを含めて、とても分かりやすいです。ただし、全国どこでもこうなっているわけでもないし、加入は任意なので、網羅されているとは限らない…。

二つ目として、小児慢性特定疾病医療費助成の対象となるよう申請をしている訪問看護ステーションの一覧が考えられます。東京都の場合、一覧があり、児童相談所ができた地域にはそちらに事務を移管しているということですが、荒川区のHPでは、一覧を見つけることはできませんでした…(見つけた方教えてください)。千葉県の場合もPDFで一覧が公表されていました。政令市や中核市のサイトのリンクがあるのは親切!
ただ、制度上、申請しているだけで、実際に利用している児がいるかどうかはわかりません。

三つ目として、先ほど出てきた、介護保険の検索システムで訪問看護で、事業所を選んだら、詳細情報を表示させ、その中の「事業所の詳細」-「サービス内容」を選択すると、「訪問看護の提供(介護保険適用以外の利用者も含む)実績」という項目に、10歳未満や10代の利用者数が表示されますので、そちらで利用状況を把握することができます。この条件で検索する方法が見つからないので、1個ずつ見てゆく形になりそうです。

全数が定期的に更新されるデータベースがあって、検索式で簡単に見つかるとよいのですが、私は知りません。何か情報があれば、コメントなどいただければと思います。

こういうのを見ると、「データサイエンスの推進とかいう前に、持ってるデータを使える形で出してください!」とついつい愚痴りたくなります。

和歌山県の分娩体制を可視化してみる

先週、和歌山県新宮市にある新宮市立医療センターで来年3月以降の分娩予約を休止するというニュースがありました。

これらのニュースからは、新宮・東牟婁エリアの中核病院として年間300件ほどの分娩を取り扱っていたが、2名いた医師の1名が退職するため、2022年3月からの分娩予約を取り消したという内容で、市長が後任を求人しているというコメントが添えられていたりします。

また毎日新聞によれば、分娩が可能なのはクリニック1箇所で、近隣のくしもと町立病院や、三重県の病院にも打診しているということですが、センターから車で40分~1時間の距離にあるということも記載されていました。

そこで、そもそも和歌山県の分娩ができる体制はどうなっているのか、GISを使って可視化してみたいと思います。

まずはオープンになっている分娩対応の医療機関の情報を探してみます。すぐに検索で出てきたのは、日本産科婦人科学会が開設する周産期医療の広場の和歌山県の分娩取り扱い施設のページ。また、和歌山市周辺(和歌山市、海南市、紀美野町、有田市、湯浅町、広川町、有田川町)については、わかやまお産ネットワークという組織で対応している医療機関の一覧がありました。妊婦健診と分娩を分担する体制が取られているようです。また、県のHPでは、和歌山県産科医確保研修資金・研究資金貸与という仕組みがあり、手引の中に9つの医療機関が記載されていました。(ただし平成27年の実績…)これらから漏れている分娩取り扱い医療機関もあるかしれませんが、状況的に医療機関の数が多いとは思えないので、ほぼ大丈夫だろうと思います。

で、それらの齟齬がないか、確認すると、公立那賀病院は「令和2年9月末を以って、分娩を休止となっており、2014年から南和歌山医療センターも「健診のみ」としている模様です。読売新聞によれば、

 県医務課によると、県内で分娩可能な病院は、2012年4月時点で12か所あったが、14年に南和歌山医療センター(田辺市)、15年に国保野上厚生総合病院(紀美野町)、20年に有田市立病院と公立那賀病院(紀の川市)がそれぞれ休止し、現在は8病院。新宮市立医療センターが休止すると、7病院に減ることになる。

と書いてありました。医療機関の集約化の動きもあったので、休止自体が「悪」ということではありませんが、医療機関へのアクセスの観点から検討してみましょう。

とりあえず、人がどこに住んでいるのかも重要なので、国土数値情報のページから和歌山県の将来人口推計値のデータをダウンロード1kmメッシュで検討することにする。年齢階級ごとのデータがあるので、分娩との関連を踏まえて15歳から39歳までの人数の合計をArcGIS Proで計算させる。

各メッシュから2022年3月以降、暫定的に直線距離で10km圏内に分娩対応している医療機関があるかどうかと、2014年から来年の3月で5つの施設が減っている状況を検討することにした。

病院と診療所があるので、病院を診療所の倍の能力があると仮定してみたところ、ピンク系が施設に分娩可能な施設が周辺にないところで、色が濃いところは15-39歳人口も300人以上、薄いところは10人以下に設定しています。和歌山市と橋本市の間や今回の串本町と新宮市立医療センターの間のあたりは、人口もそれなりにいるのに、施設がないことが分かります。点線は新宮市立医療センターの周辺10Kmの円ですので、休止の影響の大きさがわかります。そもそもなのですが、ピンクの地域は周辺に分娩に対応できる医療機関がないわけですが、内陸の方は過疎の傾向があるとはいえ、結構多いなと感じます。

三重県との県境でもあり、三重県側の妊婦さんを受け入れていたのかはよくわかりませんが、三重の方にも影響が大きいのではと予測します。尾鷲市までは結構な距離が…。

次は、これまでの減少の状況についてですが、当然、分娩対応を休止した病院の周辺では緑やピンクで表示され、利用できる医療機関が減少しています。和歌山市の周辺は施設の集約化が図られ減ってますが、数には恵まれているといえますし、田辺市周辺も他の医療機関がありましたが、新宮市は市内や周辺に機能を代替できる病院がなく、クリニックが一つだけということを考えると、深刻な状況であることが理解できました。

今回は医療へのアクセスを距離という観点から可視化を試みましたが、移動は簡単でも、施設の対応力を超えていたら、医療が受けられないのは同じですので、一見今回のテーマと逆のような施設の集約化も含めて総合的に考えてゆく必要があります。

今回は直線距離で検討しましたが、時間距離という概念もあり、一定の時間で移動できる距離を考えた場合には、高速道路等を整備するということがあげられます。ただし新宮市周辺は整備が遅れているようなので、すぐには難しいかもしれません。また山がちな内陸の方は時間距離で考えると実感としてはもっと遠いということになるのかもしれません。

そうなると、母子の安全という面からは助産師さんに巡回して、異常の早期発見に努めたり、予定日が近づいたら妊婦さんが入れるような居住施設を整備したりというような方策も考えられるかもしれません。(もう行っているのかもしれませんが、そこまでは調べられていません。少なくとも県のHPにはあまり情報がなかったです。)

根本的なこととして国をあげて産科医を支援して、安心して家族が子どもを産み育てられる体制を作ってほしいと願っています。

大学院説明会・個別相談会の開催

私が勤務している東京医療保健大学大学院千葉看護学研究科では、修士課程への進学を検討している皆さんを対象として、説明会、個別相談会を11/27(土)に開催します。Zoomでの遠隔対応も準備する予定ですので、進学を検討されておられる方、ぜひお申し込みください。
オンライン授業も活用して働きながら学べる大学院です。詳細やお申込みはリンク先を御覧ください。私はコミュニティケアの内容を主に担当していますが、入学時点では分野を特定せず、研究のテーマや関心を踏まえて指導教員を決めています。
研究科のページ:http://www.thcu.ac.jp/graduate/chiba/
説明会のご案内:https://t.co/JKgr6rYGSf?amp=1


ownCloudのデータディレクトリを移動

以前から、レンタルサーバーの空き容量で使用してきたownCloudですが、データディレクトリは、wwwディレクトリ以下の公開されているディレクトリでない方がセキュリティ的にも良いということで移動した。その時の作業メモです。

  1. レンタルサーバーのルートフォルダにデータ用のディレクトリを作成。
  2. ownCloudをメインテナンスモード on。cronも停止。
  3. データディレクトリを移動
  4. config/config.php の ‘datadirectory’ を修正
  5. ownCloudをメインテナンスモード off。cronも再開。

でうまくいくかと思ったのですが、新しいフォルダにアクセスできず…。
ネットサーフィンで、データベースのユーザアカウントにデータフォルダのデータが含まれているためと判明。

  1. phpMyAdminを使って、データベースにアクセスし、データベースの”oc_accounts”を選択。
  2. homeを確認すると、古いフォルダのパスが記載されていた。
  3. 「編集」を選択してパスを更新
  4. occ files:scan <ユーザ名> を実行

phpmyadmin

これで、通常通り作動しています。

ALS患者さんについて

ALS患者さんへの嘱託殺人が行われたというニュースが流れています。まだ真相がわかりませんので今後の状況を見守らなければなりませんが、刑事事件とは別の医療や福祉の視点で確認しておきたいことがあります。

私は今回の患者さんの「死にたいほど、辛い」という気持ちを雑に扱ってはいけないと思っています。私にそれがわかるとは言いませんが、患者さんへの訪問看護やその他のお付き合いの中で、どれほどのものか想像しうるものは持っていると思っています。また、病院での臨床で亡くなった方たちは、人工心肺を回しながら心電図がフラットになって機械を止める様な方々でした、そうした方々のそばにいて、自分が患者だったら「もういいよ」って人工心肺のスイッチをOFFしたいような気持ちを持つこともありました。

看護では「患者に寄り添う」ことが大事と教えます。しかし、ギリギリまで寄り添っても、やはり他者は他者であり、医療職がその一線を超え自律性を損なうことの危険も知らなければなりません。

現時点で言えることとして、今回の事件で行われてきたことは、微力ながらもこの20年、当事者と共に多くの医療職・関係者が取り組んできた神経難病患者さんに対しての生を支援する取り組み、例えば、難病法の成立、障害者サービスの拡充、早期からの緩和ケアの導入、外出支援やコミュニケーションの支援の拡充などとは、全く異なる次元のものであり、このような異次元の対応を契機に尊厳死を考えるとかそういう動きが出てくることには強い違和感を覚えます。こういう問題は現場での地道な活動の成果に基づいて、政治が道筋をつけていくことであり、上からの議論には何か別の意図が含まれている可能性を感じます。

是非、落ち着いた議論になることを願っています。

白衣を捨てて街に出よう!