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GISトレーニング参加記

ほとんどの看護の研究者には関係がなさそうな投稿ですが、5日間GISのトレーニングを受けて、何が変わったのかを備忘録としてまとめておきます。(たぶん同じような経験をする人がいると思うので、公開しておきます)

今回はESRI社のArcGIS for Desktopのトレーニングを受けてきました。このソフト自体は本学ではサイトライセンスで使用することができ、2年ぐらい前から扱ってはみたものの、「使い勝手が悪い」と思っていて、実際以前の論文では、埼玉大学の谷謙二先生が作られたフリーウェアのMANDARAを使い機能的には十分でした。

ただ個人的にはMANDARAは扱うデータ項目が多くなると、エラーが出てデータが使えなくなることを2回経験していて、最初からやり直す(それほど面倒ではありませんが)ことがあり、少し信頼性の面での懸念も持っています。

一方で、こうした「使い勝手の悪さ」や「信頼性への懸念」は、ソフトの問題であるのか、ユーザ自身の能力・技能の問題であるのかというと、正直、後者かなと思っていました。特にArcGISはとても高機能ですが、操作できる項目が数え切れないほどあり、「習うより慣れろ」といってもどこから慣れていけばよいのかと思う人は少なくないはずで、看護界や自分のキャンパスの中では相談できる人も多くない。そういうことで今回改めて一から勉強してみようと思いました。

基本的なこととして、分析用のPCのスペックも、今回のトレーニング用のノートPCでもメモリは16GBあって、8GBだった分析に使っている大学のPCも途中で16GB追加して24GBにしたら処理が結構早くなりました。

それからライセンスの関係で、基本的には学内のライセンスサーバに接続しないと使えないのですが、ライセンスの借用方法というのを教えてもらったので、出張中にネット環境がなくても使えるようになりました。

こういうことって、問い合わせするほど困っているわけでもないけど、専門書や論文を読んでも書いてないですからね。

ArcGIS自体の操作については、地図のシェープファイルとデータを結合させて使うことは知っていましたが、その結合した状態でエクスポートして使う方が後で使い勝手がよいとか、似たようなツールがあるけど、それぞれの特徴があるとか、既知のばらばらの情報がつながるとこんなに有効に使えるのかと実感しました。

それから、model builderというマクロのような操作方法もあり、共分散構造分析のような図を書いて順序を指定することで、一気にいくつかの、もしくは元のデータを交換しながら複数処理していく方法は知らなかったので、これは役に立つと思います。

ArcGISを使うメリットとしては、データベース機能の充実かと思います。SQLとか馴染みがないと、厄介なのかもしれませんが、すでにあるデータを計算して新しい項目を作ったり、必要なところだけを抽出したりといった部分は、基本的にEXCELなど別のソフトで計算してから読み込んでいたMANDARAよりも便利かなと思います。ただ、使えるツールが400もあるといわれると…50くらいしか使えていないので、まだまだ勉強が必要です。

この手の分析では、得られるデータの質や修正も大事です。例えば、国が公開しているデータだと足立区の河川敷も特定の番地に含まれているので、その番地の情報が地図上でとても広く表示され、誤解を招きやすくなります。行政区画としては正しいのでしょうが、分析の目的上適切でなければ、データや地図を変更したりする必要もあります。こうした準備に結構時間がかかります。今こうしたデータの収集や整理しているところです。週末にまとめられたら来週から復習もかねて分析しようと思います。

10月には三田の慶応大学で地理情報システム学会もあるようなので、見てこようかと。

「食といのち」を読む

妻の紹介で辰巳芳子氏の「食といのち」を読んだ。

辰巳氏は料理研究家で、私はあまり存じ上げなかったが、本書の中では看護師の川嶋みどりさんや小児科医の細谷亮太さんと「いのち」に関わる食事の話が対談形式で書かれている。

今年のオープンキャンパスで学科長が看護とは?を参加者に解説されていたが、一般的に看護と介護の違いがよく分からないという話をよく耳にする。学科長の説明もそうであったが私はこの場合、似ているものの違いを殊更に強調することよりも、看護師はこういう風に物事を捉えて実施しているということの方が大切なのではないかと思う。

その点で本書では川嶋先生は食事を栄養素の話ではなく、「食」として、また「生きる糧」として看護がどのように考えているのかをわかりやすく示している。川嶋先生以外の対談もだが、平易な書き方になっているので、高校生や一般の方々にも読んでいただきたい本だった。

看護とコミュニケーション

サバティカルに入って研究活動は色々進んでいますが、学生と関わることや高校生向けの説明活動などもしていないので、ちょっと寂しさも感じている今日この頃です。

看護の世界でコミュニケーションはとても大事です。私はコミュニケーション上手でもないし、あまり好きでもない方だと自覚して、学生に授業をしています。

専門的な内容についての質問に答えることは学生さんでも結構上手です(勉強をちゃんとしていれば…の話ですが)。例年、ロールプレイなどを見ていて個人差が大きいと思うのは、患者さんから漠然とした不安を投げかけられた時の対応です。

「手術が不安」という話が出ると、普通の研修医は「手術をすれば症状が良くなりますよ」といった説明をします。これも悪くはないですが、私の授業では学生には話を聞く技術を上手につかって最終的には相手の「気持ち」「感情」を引き出すこと、そして臨床に出て忙しくなっても、そのタイミングだけは逃さずに時間を作ることの2つを強調しているつもりです。

最悪なのは「全くそんなことはありません。それは間違いです。」と全否定してしまって、不安が生じる理由や背景を内面に封じてしまうことです。看護の世界では対象者との信頼関係が損なわれるので、そんな学生には単位は与えられませんが、政治の世界では、とにかく自説を説けば他者の不安が解消すると思われているようです。学生でも取り組んでいることなのに、どうしてそうなるのか、私には理解できません。

「精神科訪問看護」に目を通してみた

以前、学部の講義の際に以前に購入した精神看護エクスペール 8 (8) 精神科訪問看護の内容は良いものの、精神障害者を取り巻く制度がこの数年大幅に変更されたこともあり、そのあたりをまとめてくれた新しい物が出ないかなと思っていました。

5月に刊行された精神科訪問看護は、もう少し入門的な本の装丁と内容ですが、私が知りたかった制度改定のあたりは、最初にまとめられているほか、症状の対応や事例などが豊富に掲載されており、実習で精神障害者の方に訪問する学生や、新たに精神科訪問看護に従事する訪問看護師には、訪問のハードルをかなり下げてくれるのではないかと思います。

これを読んで、私も8月に精神科訪問看護の研修を受けてきたいと思います。

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CNS看護学会参加記

13日に開催された第2回日本CNS看護学会に初参加してきました。

中身がどんなものなのか、よくわからないまま参加しましたが、会長講演や基調講演など含めてCNSの領域でも地域包括ケアを意識した内容になっているということ、つまり専門病院で、複雑な医療から引き出された複雑な看護上の問題に対応するCNSの活動とは別に、地域で各分野のCNSが活動することが意識化されていたところは非常に印象に残りました。

僕が関心を持ったのは小児看護CNSの方のNICU児の退院支援に向けた活動で、退院支援の標準化・質の保証絡みでの院内の仕組みの改善や地域へのアウトリーチもあったりして、CNSの質の高い活動がとても良く伝わるものでした。

あとは、CNSに会おう!とか、CNS養成の大学院の紹介コーナーもあったりして、色々な方にお会いすることができました。たまたまいらした家族支援CNSの方にはCNS認定後の能力形成について懇談ができ、家族看護学会の事例検討がとても勉強になっているというお話しだったので、やはり在宅看護についてもそういう場が必要かな?

あと現在上智大におられる渡邊知映さんにも、久しぶりにお会いしました。講演のテーマがCNS活動の質の評価・診療報酬につなげる内容だったのですが、個々のCNSの自分の活動の意識化が第一歩という話には納得しつつも、やはり大規模なデータベースでも作らないとなかなか難しいのではないかといった話をしているうちに次のセッションの時間になってしまいました。

学会については、会場が縦に分散していたので、移動が大変だったということと、一部の演題発表の会場が狭く、かつ企業展示と一緒だったりしたので、その辺は改善の余地があるような感じでしたが、色々普段見られないものを見る、会えない人にお会いできたという点ではサバティカル的にも参加してよかったように思います。