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改めて木下康仁先生を偲ぶ

木下康仁先生のご逝去から1年、そのご功績が雑誌「看護研究」に特集として取り上げられています

私個人も日本保健医療社会学会の理事を務めていた時に木下先生にお世話になりました。
思い出に残っているエピソードの1つ目は、園田賞という園田恭一先生のお名前を冠した論文賞の選考の時です。私も委員として10行ほど選考理由を用意して臨んで、一応、ご了解をいただける内容ではあったと思いますが、木下先生は私の3倍ぐらいの量を用意されていて論文に対する過不足のない的確な批評と賞賛はもちろんのこと、多彩な言い回しなども含めて、そのまま、論文集に掲載したほうが良いと思うほどの内容でした。質的研究者の分析力と表現力の豊かさを垣間見る機会でした。
2つ目のエピソードは、今となれば笑ってしまうことですが、木下先生と保健医療社会学会の定例研究会を企画した際に、どういうわけだか、開始時間になっても誰も参加者がこないという事件が起きました。大学院の頃のお隣の研究室におられた青木美紀子さんに遺伝看護の話をしていただく予定だったのですが、結局、ご用意いただいたお話を基に3人で楽しい議論の時間を頂きました。
青木さんには失礼な話でしたし、木下先生とも頭をポリポリ書きながら、理事会でどう報告しようかとお話ししたのを覚えています。

木下先生を知る者として、先生の保健医療社会学や看護学へのご貢献を継承しなければと思います。

第13回日本在宅看護学会学術集会を開催します

第13回日本在宅看護学会学術集会の学術集会長を拝命することになり、この度、第13回日本在宅看護学会学術集会のホームページを開設いたしました。

テーマは「在宅看護、すぐそばに在る」です。
様々な方々の在宅療養を支える仕組みができていますが、地域偏在や重複、事業所の継続性、職員の高齢化、社会保障の財源など、先々を見れば気になることばかりです。こうした問題に目を向けて、少しずつ看護学の力を結集してゆけるような機会にしたいと思います。

会期は11月18・19日で、ハイブリッドでの開催となりますので、会場、遠隔での参加が可能です。
またオンデマンド視聴期間もこれまでより延長する予定です。
参加しやすい学術集会にしたいと思いますので、ぜひ多くの方にご参加いただきたいと思います。

ホームページも順次、コンテンツも増やしてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

清水準一

小児を対象とする訪問看護ステーションの探し方

twitterで、「本当は訪問看護ステーションを変えたいのだけど、病院のほうで調整してくれたし、他に対応してくれるところがあるかわからないから、我慢せざるを得ない」みたいな投稿をされている医療的ケア児のご家族の方がおられました。

たしかに介護保険のサービスについては、「介護サービス情報公表システム」があり、利用者さんやご家族自身が居住地域付近の訪問看護ステーションを探すこともできなくはないと思います。そして、高齢者の場合にはケアマネジャーさんに頼めば、情報提供してくれると思います。小児だとケアマネさんはいないので、上述したtwitterの方も主治医のいる医療機関のMSWの方などにご相談いただけるとよいのかなと思います。私としては全体としてどうなっているのかも気になるので研究者として利用できる情報源のほうに話のポイントを移しつつ、どんな方法があるのかを考えます。

実は医療保険の(小児の)訪問看護サービスについてはまとまったデータベースがないのが現状です(研究者としてもちょっと困ります)

とりあえず、医療保険の訪問看護ができるステーションは、厚生労働省の外局である関東信越厚生局などのHPから、一覧としてダウンロードすることができます。通常介護保険がつかえる事業所して申請するとこちらにも登録される仕組みがありますが、小児専門のステーションだと、こちらにしか登録がありません。

こちらに登録があるからと言って、小児の訪問看護に対応しているのかどうかは、これだけではわかりません。

一つ目として、訪問看護ステーションは地域ごとの協議会とか、教会というものを作っていて、そちらに一覧が掲載されている場合があります。東京都訪問看護ステーション協会の一覧神奈川県訪問看護ステーション協議会の一覧は小児に対応しているのかを含めて、とても分かりやすいです。ただし、全国どこでもこうなっているわけでもないし、加入は任意なので、網羅されているとは限らない…。

二つ目として、小児慢性特定疾病医療費助成の対象となるよう申請をしている訪問看護ステーションの一覧が考えられます。東京都の場合、一覧があり、児童相談所ができた地域にはそちらに事務を移管しているということですが、荒川区のHPでは、一覧を見つけることはできませんでした…(見つけた方教えてください)。千葉県の場合もPDFで一覧が公表されていました。政令市や中核市のサイトのリンクがあるのは親切!
ただ、制度上、申請しているだけで、実際に利用している児がいるかどうかはわかりません。

三つ目として、先ほど出てきた、介護保険の検索システムで訪問看護で、事業所を選んだら、詳細情報を表示させ、その中の「事業所の詳細」-「サービス内容」を選択すると、「訪問看護の提供(介護保険適用以外の利用者も含む)実績」という項目に、10歳未満や10代の利用者数が表示されますので、そちらで利用状況を把握することができます。この条件で検索する方法が見つからないので、1個ずつ見てゆく形になりそうです。

全数が定期的に更新されるデータベースがあって、検索式で簡単に見つかるとよいのですが、私は知りません。何か情報があれば、コメントなどいただければと思います。

こういうのを見ると、「データサイエンスの推進とかいう前に、持ってるデータを使える形で出してください!」とついつい愚痴りたくなります。

大学院説明会・個別相談会の開催

私が勤務している東京医療保健大学大学院千葉看護学研究科では、修士課程への進学を検討している皆さんを対象として、説明会、個別相談会を11/27(土)に開催します。Zoomでの遠隔対応も準備する予定ですので、進学を検討されておられる方、ぜひお申し込みください。
オンライン授業も活用して働きながら学べる大学院です。詳細やお申込みはリンク先を御覧ください。私はコミュニティケアの内容を主に担当していますが、入学時点では分野を特定せず、研究のテーマや関心を踏まえて指導教員を決めています。
研究科のページ:http://www.thcu.ac.jp/graduate/chiba/
説明会のご案内:https://t.co/JKgr6rYGSf?amp=1


ALS患者さんについて

ALS患者さんへの嘱託殺人が行われたというニュースが流れています。まだ真相がわかりませんので今後の状況を見守らなければなりませんが、刑事事件とは別の医療や福祉の視点で確認しておきたいことがあります。

私は今回の患者さんの「死にたいほど、辛い」という気持ちを雑に扱ってはいけないと思っています。私にそれがわかるとは言いませんが、患者さんへの訪問看護やその他のお付き合いの中で、どれほどのものか想像しうるものは持っていると思っています。また、病院での臨床で亡くなった方たちは、人工心肺を回しながら心電図がフラットになって機械を止める様な方々でした、そうした方々のそばにいて、自分が患者だったら「もういいよ」って人工心肺のスイッチをOFFしたいような気持ちを持つこともありました。

看護では「患者に寄り添う」ことが大事と教えます。しかし、ギリギリまで寄り添っても、やはり他者は他者であり、医療職がその一線を超え自律性を損なうことの危険も知らなければなりません。

現時点で言えることとして、今回の事件で行われてきたことは、微力ながらもこの20年、当事者と共に多くの医療職・関係者が取り組んできた神経難病患者さんに対しての生を支援する取り組み、例えば、難病法の成立、障害者サービスの拡充、早期からの緩和ケアの導入、外出支援やコミュニケーションの支援の拡充などとは、全く異なる次元のものであり、このような異次元の対応を契機に尊厳死を考えるとかそういう動きが出てくることには強い違和感を覚えます。こういう問題は現場での地道な活動の成果に基づいて、政治が道筋をつけていくことであり、上からの議論には何か別の意図が含まれている可能性を感じます。

是非、落ち着いた議論になることを願っています。